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物語りを背負う


1/28(木)はれ

週一回の着物語りその二。

「物語を背負う」

私の思春期は、着物と共にあったと言ってもいいかもしれない。

高校時代、演劇部に所属していた。
演劇部は文化部ではあるけれど、活動内容は運動部並みのハードな
日々だった。
ストレッチ、筋トレはもちろん、学校の周りをランニングするとき、
発声練習をしながら走ったり、空手の「躰道」を習ったり。
舞台に立って物語を背負うには、身体の軸がしっかりしている
ことが大事。
十代で身体をつくったことが、今に役立っているとつくづく思う。

公演の舞台衣裳を縫ったり、装置や小道具を作ったりもした。
演劇は総合芸術。
照明も音響も部員が担当し、皆で力を合わせてひとつの世界を
創ってゆく。

高校二年の秋、演劇コンクールの県大会に出場した作品が
着物芝居だった。
『柳-りゅう-』という明治時代の豪農の物語で、出演者全員が着物。
一家の主である柳、五人姉妹、下女らが織りなす愛憎劇。
(出演者は全員女。男子部員はスタッフとして作品を支えてくれた。)

我が校は秋の県大会、冬の四国大会を突破し、翌年夏開催の全国大会
出場の切符を手に入れた。
演劇部始まって以来の快挙に、皆が進学校であることを忘れて
演劇浸けの日々を送ることになる。
(高校二年の夏から三年の夏まで一年間、来る日も来る日も
 着物で稽古をしていたことになる。)

授業が終われば、ジャージに着替えて肉体訓練をして
シーン稽古時に着物を纏う。
自分にとって着物は、生活の一部になっていった。

本番で使う衣裳は、うちの着物を沢山使っていた。
母が若い頃によく着ていた銘仙は、親友が着て、これがまたよく
似合っていた。
五人姉妹の年齢や性格が出るように、色や柄を決めていったように思う。

全国大会の写真を箱から出してみる。
舞台写真は全景なので、誰なのかを判別するのにも時間がかかって
しまった。

今想えば、人生経験の少ない高校生が一家の主を演じたり、
姉妹でひとりの男をめぐって骨肉の争いをしていたことが微笑ましい。
(当時は、命懸けでひとりの男を思う娘を演じていた。)
着物に助けられて、明治の女を生きることができたように思う。

今、あの時の舞台で使った着物を、中年になった自分が袖を
通している。
楽屋に顔を出して、活き活きと話していた母はもういない。

でも、私は憶えている。
着物には、一枚一枚に物語があり、それを背負って身に纏う幸せを
噛み締めている。


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